検索品質評価ガイドラインは「正解集」ではない|182ページの中身と、Search Off the Recordで語られた考え方

検索を学ぶ

検索品質評価ガイドラインを、Googleの教科書だと思って読み始める人は多いと思います。ここに書いてあることをやれば正解、という前提です。

ところが、その前提はガイドラインの6ページ目で否定されます。

評価者がつけた採点が、特定のページやサイトのGoogle検索での見え方に直接影響することはない。検索結果ページ上で順位を上下させることもできない。理由まで書かれていて、人間がオープンウェブ上の全ページを個別に評価するのは現実的に不可能だから、と説明されています。では何のためにあるのか。検索エンジンがどれだけうまく機能しているかを測るため、そして改善のための良い例・悪い例を集めるためです。

この記事では、ガイドラインの2025年9月版を実際に読みながら、Google公式ポッドキャスト「Search Off the Record」で語られた内容と対照していきます。ガイドラインが「何を良いとするか」を定義し、ポッドキャストが「なぜそう考えるか」を語る。この2つを並べると、どちらか片方では見えないものが出てきます。

この記事は「Search Off the Record 全54回まとめ」の関連記事です。


まず、基本情報

正式名称は General Guidelines です。「検索品質評価ガイドライン」「Search Quality Evaluator Guidelines」「QRG」など複数の呼び方がありますが、PDFの表紙に書かれているのはこの名前です。

  • 現行版: 2025年9月11日
  • 分量: 182ページ
  • 言語: 英語のみ(Googleによる公式の日本語版はありません)
  • 公開: 2015年から一般公開

巻末のAppendix 2に変更履歴があり、直近2年分が載っています。

公開時期主な変更
2025年9月YMYL定義の更新、明確化のための例の追加、全体の軽微な修正
2025年1月Page QualityのLowest・Lowの節をウェブスパムポリシーに整合、Needs Metの解釈に関するガイダンス拡充
2024年2月信頼できないページの特徴を更新、例を追加
2023年11月Needs Metスケールの定義を簡素化、例の刷新

ここで一点、注意喚起があります。 日本語の解説記事の中には「2025年11月に大幅改訂」と書いているものがありますが、この変更履歴と一致しません。ガイドラインについて調べるときは、PDFを直接開いて表紙の日付とAppendix 2を確認するのが確実です。二次情報は、版がずれたまま流通していることがあります。


ガイドライン自身が「順位は動かさない」と書いている

冒頭の 0.1 The Purpose of Search Quality Rating に、この文書の性質が書かれています。

要点は3つです。

  1. 単一の評価が、特定のウェブページ・ウェブサイト・検索結果のGoogle検索での表示に直接影響することはない
  2. 評価によって特定のページを検索結果の上や下に動かすこともできない
  3. 理由は現実的な制約にある。人間がオープンウェブ上の全ページを個別に評価するのは不可能だから

そのうえで、評価は何に使われるのか。検索エンジンが世界中の人々に役立つコンテンツをどれだけうまく届けられているかを測定すること、そしてさまざまな検索に対する役立つ結果・役立たない結果の例を提供して検索エンジンを改善することです。

つまり、この文書は採点基準であって、実装手順書ではありません。 テストの答案用紙ではなく、テストが正しく機能しているかを確認するための採点マニュアルに近い位置づけです。

ポッドキャスト側の説明と一致している

第76回(2024-06-27)で、検索品質のプロダクトマネジメント担当ディレクターであるElizabeth Tucker氏が、E-E-A-Tという言葉の出自を語っています。

もともとSearch Quality Rater Guidelinesは、トピック的な関連性に主眼を置いた10〜20ページの文書から始まりました。そこから評価者のフィードバックを反映しながら進化する過程で、評価者たちがexpertise、authoritativeness、trustworthinessと毎回書くのに疲れて自然に略した造語がE-A-Tでした。公式な設計から生まれたものではない、と。

そして明確な否定があります。

“There is no ranking signal that’s a one-to-one match with E-E-A-T.”(第76回、2024-06-27)

位置づけは、評価者に重要な考慮事項を思い出させるための記憶術である、と説明されています。

ガイドラインの0.1と、第76回の説明は、同じことを別の角度から言っています。評価者向けの文書であって、ランキングの仕様書ではない。 ここが出発点になります。


3つの文書の役割分担

Googleが出している文書は、性質ごとに整理できます。

文書対象読者書かれていること
検索品質評価ガイドライン評価者「良い検索結果とはどういう状態か」の到達点の定義
Google検索の基本事項(Search Essentials)、有用で信頼性の高いコンテンツの作成、ランキングシステム一覧サイト運営者守るべきルールと、制作者向けの要約
Search Off the Record一般公開(音声)背後の考え方と、実装レベルの現実

Googleは評価者ガイドラインについて、制作者向けの要約は「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」のページにまとまっている、と案内しています。サイト運営者が最初に読むべきなのは、182ページのPDFではなくそちらです。

そのうえで評価者ガイドラインを読む価値があるとすれば、要約では削られた「なぜそう判断するのか」の粒度が残っているからだと思います。

なお、この文書化の方針そのものについて、第63回(2023-08-22)で説明があります。Googleは従来すべてを「アップデート」と呼んでいたのを、仕組みそのものを「ランキングシステム」と呼び、システムが更新された場合のみ「アップデート」と呼ぶよう整理しました。ただしその意図は、サイト運営者が特定システムの仕様に合わせてコンテンツを逆算で作ることではない、と明言されています。


対照:ガイドラインの定義と、ポッドキャストの証言

ここからが本題です。ガイドラインの主要な節と、Search Off the Recordで語られた内容を並べていきます。

E-E-A-T:中心にあるのはTrust

3.4 Experience, Expertise, Authoritativeness, and Trust (E-E-A-T) に、意外と知られていない記述があります。

“The most important member at the center of the E-E-A-T family is Trust.”(General Guidelines, 3.4, September 11, 2025)

4つは並列ではありません。 中心にあるのはTrustで、Experience・Expertise・AuthoritativenessはTrustの評価を支える概念として位置づけられています。日本のSEO記事では4本柱として横並びに図解されることが多いのですが、ガイドラインの構造は階層的です。

Trustの中身も、ページの種類によって求められる型と量が違うと説明されています。オンラインストアなら安全な決済と信頼できるカスタマーサービス。商品レビューなら、売るためではなく他の人が判断できるように正直に書かれていること。YMYLトピックの情報ページなら、人や社会への害を防ぐための正確さ。一方で、娯楽目的で害のリスクがないSNS投稿には、高いレベルのTrustは必要ないかもしれない、とも書かれています。

Experienceの説明も具体的です。実際にその商品を使った人によるレビューと、使っていない人による「レビュー」なら、どちらを信頼するか、という問いかけがされています。

実務への含意: E-E-A-Tを4項目のチェックリストとして扱うより、「このページの種類において、何があれば信頼できる情報源だと言えるか」という問いに落とすほうが、ガイドラインの構造に近い読み方になります。そして第76回の説明を踏まえれば、そもそも一対一で対応する信号は存在しません。

メインコンテンツの品質:測るのは長さではない

3.2 Quality of the Main Content で、判断軸が4つ示されています。

  • Effort(労力) — 人間が実際に働いて満足できるコンテンツを作ったか。直接執筆する労力だけでなく、ページの機能設計やシステム構築も含む
  • Originality(独自性) — 他サイトにない独自のコンテンツか。似た内容が他にある場合、そのページが originalな出典か
  • Talent or Skill(才能・技能) — 訪問者に満足できる体験を提供するだけの技量があるか
  • Accuracy(正確さ) — 情報ページなら事実として正確か。YMYLなら確立された専門的コンセンサスと整合しているか

そして重要な一文があります。高品質なMCも低品質なMCも、あらゆる形式(テキスト、音声、動画、画像)とあらゆる長さに存在する、と。短いSNS動画と本格的なドキュメンタリーが例に挙がっています。求められる労力の量は違うが、どちらも目的に対して十分な労力が必要だ、と。

ここがポッドキャスト側と噛み合います。 第63回で、文字数が多いほど評価されるという通説が明確に否定され、Googleはどこにも文字数要件を定めていないと述べられました。第74回(2024-05-23)では、GoogleがSEOスターターガイドを大幅に短縮したところ、順位は下落せず維持・向上した、という経緯が語られています。

ガイドラインが「長さは判断軸に入っていない」と書き、ポッドキャストが「実際に短くしても落ちなかった」と語る。同じ結論に、別のルートから到達しています。

注意: 第74回については詳細な内容を確認できていないため、短縮の規模や前後の文脈は原典にあたってください。

Filler:レシピページが名指しされている

5.2.2 Filler as a Poor User Experience は、2025年1月の改訂で整理された部分にあたります。

Fillerとは、ほとんど価値を加えず、ページの目的を直接支えない低労力のコンテンツを指します。これがあると、中身が豊富に見えるのに、訪問者にとって価値のあるコンテンツが乏しいページができあがる、と説明されています。特に、役立つコンテンツより前の目立つ位置に置かれた場合に問題になる、と。

そして例として名指しされているのがレシピページです。レシピ本体と、それを直接支える重要な補足情報は、ページ上部の目立つ位置に置かれるべきだ、と書かれています。

Fillerが大量にあって訪問者の体験を損ねている場合、あるいは視覚的に目立つFillerが多くて役立つMCを見つけにくい場合は、Low評価が適切だとされています。

一方で、但し書きもあります。ページの主目的に直接寄与しないコンテンツでも、適切な位置に置かれていれば価値があり得る。Fillerとは、価値のある目立つ場所を占めながら、目的に対して価値も有用性も提供していない低労力のコンテンツを指す、と。

第63回で語られていたのが、まさにこれです。 旅行ブログで不要な前置きやアフィリエイトリンクが多く、本当に知りたい情報(駐車場所など)が埋もれている問題。レシピブログで祖母の思い出話が長く続き、肝心のレシピになかなか辿り着かない問題。ユーザーが「SEOっぽいコンテンツが嫌だ」と感じるのは、検索エンジン向けに書かれた不自然さを感じ取っているためだ、と。

ポッドキャストで雑談として語られていた不満が、ガイドラインでは評価基準として明文化されている。この対応関係は、かなり分かりやすい例だと思います。

広告とインタースティシャル:Lowの直接的な理由になる

5.3 Distracting Ads/SC では、広告や補助コンテンツ(SC)は見えていて構わないという前提が示されたうえで、それらがMCの利用を妨げる場合の扱いが書かれています。

閉じるボタンが明確で使いやすいポップオーバー広告やインタースティシャルは、多少煩わしくても大きな問題ではない。一方で、スクロールに追従して閉じにくい広告や、アプリのダウンロードを要求するインタースティシャルは、MCを使いにくくする、と。MCの一部が有用であっても、Low評価が適切とされています。

第112回(2026-07-16)でも、ページの品質はテキストだけでなく、広告やインタースティシャル、フィラーコンテンツを含めたページ全体の体験として評価されている、と説明されました。レシピサイトで本文の前に長い物語が置かれている例が、ここでも挙がっています。

同じ例が両方に出てくるのは偶然ではないと思います。

大規模コンテンツ濫用:AIかどうかは問われない

4.6.5 Scaled Content Abuse は、生成AIの扱いを考えるうえで最も直接的な節です。

大規模コンテンツ濫用とは、主にサイト所有者の利益のために多数のページが生成され、ユーザーの役に立っていない状態を指します。作り方は問われません。 自動ツール(生成AIかどうかを問わず)を使って価値の乏しいページを量産すること、フィードや検索結果をスクレイピングして同義語置換や翻訳などで加工して量産すること、複数サイトを作って規模を隠すこと、読者には意味をなさないが検索キーワードを含むページを大量に作ること。いずれも例に挙がっています。

そして評価の指示が明確です。独自コンテンツも付加価値もない大規模生成コンテンツで構成されたページやサイトは、作られ方にかかわらずLowestと評価すべき。さらに、生成AIツールで作られたかどうかが確信できない場合でも、サイト内の複数ページを見たうえで大規模コンテンツ濫用が強く疑われるなら、Lowestを使ってよい、とされています。

続く 4.6.6 では、MCのほぼすべてが他所からのコピー、言い換え、埋め込み、自動生成・AI生成、再投稿であり、労力・独自性・付加価値がほとんどない場合はLowest、と書かれています。出典を明記していても同じ扱いです。ただしライセンス契約に基づく配信コンテンツ(シンジケーション)はコピーとは見なされない、という但し書きが付きます。

第109回(2026-05-01)の説明と重なります。 サイト運営者へのアドバイスとして、単なるコンテンツの量産は価値を生まないと明言されていました。そこで挙げられたのが、ジョイスティックを買ったときの店員とのやりとりを引き合いに、スペックの言い換えでしかない記事の価値の低さを説明する場面です。

ガイドラインの言葉に置き換えれば、労力・独自性・付加価値がない、ということになります。

期限切れドメインの濫用

4.6.3 Expired Domain Abuse は、期限切れドメインを購入し、ユーザーにほとんど価値のないコンテンツを置いて、主に新しい所有者の利益のために使う行為を指します。

もともと政府機関、慈善団体、学校といった信頼度の高いサイトだったドメインが狙われる、と説明されています。例として挙がっているのが、政府機関が使っていたサイトでのアフィリエイトコンテンツ、非営利の医療慈善団体が使っていたサイトでの商用医療製品の販売、かつての小学校サイトでのカジノ関連コンテンツです。

見分け方として、Internet Archiveでホームページや他のページを調べ、明らかな変化が起きていないか確認する方法が挙げられています。

第62回(2023-07-20)は、これを買う側の視点から扱っています。 中古・期限切れドメインを購入する際は、Wayback Machineなどで過去のコンテンツ履歴を確認すべき。そして中古ドメインには過去のマニュアルアクションが付いている可能性があり、確認するにはSearch Consoleに登録する必要がある。コンテンツ由来のマニュアルアクションは解決しやすいが、蓄積されたリンクが原因の場合は解消が難しい、と。

同じ回では、こんな否定も出ています。“The myth is that a .edu and .gov domain”(第62回、2023-07-20)——.eduや.govからのリンクが特別なリンクジュースを持つというのは神話だ、と。

ガイドラインが「信頼度の高いドメインの評判を利用しようとする行為」を濫用として定義し、ポッドキャストが「そもそもそのドメインからのリンクに特別な価値はない」と言っている。両方合わせると、期限切れドメイン狙いという戦略の前提そのものが崩れます。

YMYL:定義は「トピックそのもの」で決まる

2.3 Your Money or Your Life (YMYL) Topics は2025年9月の改訂で更新された部分です。

YMYLは、健康・経済的安定・安全、あるいは社会の福祉や幸福に大きな影響を与えうるトピックを指します。影響を受ける対象として、コンテンツを直接見る人、その人の行動によって影響を受ける他者、その人たちの行動によって影響を受ける集団や社会、の3つが挙げられています。

分類は4つです。健康・安全、経済的安定、政府・市民・社会、その他。

そして重要な線引きがあります。どんな無害なトピックでも、有害なページを想像することはできる——虹の科学や鉛筆の買い物のページにマルウェアを置くことは可能です。しかし特定のトピックがYMYLであるためには、トピックそのものが健康・経済的安定・安全・社会の福祉に影響を与えうる必要がある、と。

つまりYMYLはページ単位の判定ではなく、トピック単位の性質です。

第76回でも同じ発想が語られています。 E-E-A-Tは検索内容によって重要度が異なり、健康関連のクエリでは重要だが、可愛い子猫の検索ではさほど重要ではない、と。

自社の扱うトピックがYMYLに該当するかどうかは、コンテンツの作り方ではなく、テーマの性質で決まる。ここは押さえておく価値があります。

ページの目的とNeeds Met

ガイドラインは大きく3部構成で、Part 1がPage Quality、Part 2が検索ユーザーのニーズの理解、Part 3がNeeds Met評価です。

Needs Metスケールは5段階です。

評価内容
Fully Meets特定の1つの結果を求める明確な意図のクエリに対し、まさにその結果である場合のみ
Highly Meets支配的・一般的・妥当な少数派の解釈やユーザー意図に対して、非常に役立つ
Moderately Meets同上に対して役立つ
Slightly Meets同上に対してあまり役立たない、または可能性の低い少数派の意図に対して役立つ
Fails to Meetほぼすべてのユーザーのニーズを満たさない。クエリと無関係など

注目したいのは、Fully Meetsが特別扱いになっている点です。特定の結果を探している明確な意図のクエリにしか適用されません。多くのクエリでは、そもそもFully Meetsは存在し得ないことになります。

第66回(2023-11-21)の説明が、これと重なります。 コンテンツ品質は複雑に考えず、ユーザーがそのページに来て達成したいことを助けられているかというシンプルな視点で捉えるべきだ、と。そして、既に多くの人が書いている一般的なページを新たに作っても価値は低く、まだ書かれていないニッチな視点や独自の情報を提供することで、新規サイトでも上位表示のチャンスがある、と語られています。

Needs Metが「ユーザーの意図に対してどれだけ役立つか」を測る尺度である以上、既存ページと同じ内容では評価軸に乗りません。


ガイドラインにあって、ポッドキャストで語られていないこと

対照できない領域も、はっきりしています。

  • Needs Metの評価尺度の細部 — 各段階の判定例、ブロックコンテンツとランディングページの評価の使い分け
  • 評価者の実務手順 — 評価プラットフォームの使い方、タスクの取得と解放、重複結果の報告
  • フラグの運用 — ポルノフラグ、外国語フラグ、Did Not Loadフラグの使い方
  • ロケールとユーザー位置の判定 — 明示的な地域を含むクエリの扱い、非英語ロケールでの英語結果の評価
  • Page QualityとNeeds Metの関係 — 両者をどう組み合わせるか

これらはポッドキャストで扱われていません。評価者の業務そのものに関わる部分なので、当然といえば当然です。


ポッドキャストにあって、ガイドラインにないこと

逆方向のほうが、実務的には重要かもしれません。

クロールの仕組み、Googlebotの正体、インデックスの判断、レンダリングの挙動、Search Consoleのレポートの読み方、hreflangの実装、構造化データの使い分け、Core Web Vitalsの測定。これらはガイドラインにほとんど出てきません。

理由は文書の性質にあります。評価者ガイドラインは、人間が実際にページを開いて見たときの判断を扱う文書です。機械がそのページに到達できるか、レンダリングが成功するか、インデックスされるかは、そもそも範囲外です。

第66回で語られていたのが、まさにその手前の話でした。

“if Googlebot cannot reach your site or the rendering fails miserably”(第66回、2023-11-21)

Googlebotがサイトにアクセスできない、レンダリングが失敗する、ページに文章がない。こうした基礎的な問題があると、Googleにできることは限られます。

ガイドラインは「ページが見られる状態にある」ことを前提にしています。 そこに至るまでの工程は、ポッドキャストや技術ドキュメントの領域です。だから両方が必要になります。


日本のサイト運営者にとって

日本語版は存在しません。 出回っている日本語訳はすべて非公式のものです。訳語のぶれや版のずれがあり得るので、判断の根拠にするなら原文を確認したほうが安全です。

そのうえで、日本の実務でよく見る運用と食い違う点を挙げます。

E-E-A-Tを4項目のチェックリストにしている場合

ガイドラインの構造は階層的で、中心にあるのはTrustです。4つを横並びで満たそうとする設計は、文書の読み方としてずれています。加えて第76回のとおり、一対一で対応するランキング信号は存在しません。

監修者・著者プロフィールを一律で設置している場合

ガイドラインはコンテンツ制作者の信頼性を重視していますが、それは「そのページの種類において何があれば信頼できるか」という文脈依存の判断です。第63回では、専門家の著者という例示は文字通りの必須要件ではなく、著者情報も読者にとって意味がある場合のみ有効だと説明されています。

文字数を目標値にしている場合

ガイドラインの判断軸に長さは含まれていません。むしろ、あらゆる長さに高品質と低品質が存在すると明記されています。

記事の冒頭に前置きを置いている場合

Fillerの節でレシピページが名指しされています。最も役立つ本体を目立つ位置に置くべき、というのが明示的な指示です。日本語のレシピ記事や体験談記事でよく見る構成は、この基準に照らすと不利に働く可能性があります。

AIで記事を量産している場合

作られ方は問われません。労力・独自性・付加価値がなければ、大規模コンテンツ濫用としてLowestの対象になり得ます。しかも生成AIの使用が確信できなくても、複数ページを見て強く疑われるならLowestを使ってよい、とされています。

中古ドメインを検討している場合

ガイドラインは期限切れドメインの濫用を明示的に扱っています。第62回のとおり、リンク由来のマニュアルアクションは解消が難しく、購入前には確認できません。


読むときの注意

最後に、この文書との付き合い方を3点。

版を確認する。 現行は2025年9月11日版です。二次情報は版がずれたまま流通していることがあります。表紙の日付とAppendix 2の変更履歴を、自分で開いて確認してください。

対策リストとして読まない。 0.1に書かれているとおり、評価者の採点は順位を動かしません。ここに書かれた項目を潰していけば順位が上がる、という構造にはなっていません。

節番号で参照する。 ページ番号は版が変わると壊れます。社内で共有するなら「3.4 E-E-A-T」のように節番号で書いたほうが、次の改訂でも通用します。


まとめ

182ページを読んで改めて思うのは、この文書は「正解集」ではなく「到達点の定義」だということです。

良い検索結果とはどういう状態か。信頼できるページとはどういうものか。それを人間が判断できる粒度まで言語化したもので、そこに至る方法は書かれていません。方法が書かれているのは制作者向けのドキュメントのほうであり、その背景にある考え方が語られているのがSearch Off the Recordです。

そして両者は、驚くほどよく噛み合っています。レシピページの前置きはガイドラインでFillerとして名指しされ、ポッドキャストでは雑談の不満として語られる。文字数はガイドラインの判断軸に入っておらず、ポッドキャストではGoogle自身が自社ドキュメントを短縮して順位が落ちなかったと語る。E-E-A-Tはガイドラインで階層構造として示され、ポッドキャストではその出自が評価者の略語だったと明かされる。

同じことを、違う角度から言っている。 その重なりを見つけていく読み方が、いちばん実りがあるのだと思います。

なお、ガイドラインは定期的に改訂されます。この記事の内容は2025年9月11日版に基づいています。ポッドキャスト側の発言についても、収録から時間が経っているものは状況が変わっている可能性があります。実装や方針を決める前には、developers.google.com の最新情報を確認してください。

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