Amazon決算2026年7〜9月期を解説|AWSは約5年ぶりの39%増、広告11%増はプライムデー前倒しの影響

決算分析

Amazonが2026年10月29日(米国時間)、2026年7〜9月期(第3四半期)の決算を発表しました。クラウド事業のAWSは前年同期比39%増と、約5年ぶりの高い伸びを記録。営業利益率も過去最高の13.9%でした。それでも1株利益(EPS)が市場予想に届かず、株価は時間外取引で7%前後下がっています。

広告売上は11%増と、前四半期の26%増から大きく鈍りました。ただし、これは毎年7月に開いていた大型セール「プライムデー」を今年は6月に前倒ししたためで、実力が落ちたわけではありません。この記事では、Amazonの決算を前四半期との違い、AWS、広告、AIへの投資、今後の見通しに分けて整理し、最後にGoogleと比べます。

この記事のポイント

  • 売上は12%増の2,019億ドル。プライムデーの前倒しで成長率が約4ポイント押し下げられた
  • AWSは39%増の460億ドル。6四半期連続で伸び率が上がり、2027年・2028年も40%超を見込む
  • 営業利益は61%増の281億ドル。そのうち6割以上をAWSが稼ぐ
  • 広告は11%増の196億ドル。4〜6月期と合わせると18%増で、10〜12月期は10%台後半に戻る見込み
  • 2026年の設備投資は約2,200億ドル。直近12か月のフリーキャッシュフローは424億ドルのマイナス

決算の概要:AWSは好調、EPSは予想に届かず

売上高
2,019億ドル
前年比 +12%
AWS
460億ドル
前年比 +39%
広告
196億ドル
前年比 +11%
営業利益
281億ドル
利益率 13.9%(過去最高)

売上高は2,019億ドルで、市場予想(約2,023億ドル)とほぼ同じでした。為替の影響を除くと13%増です。Amazonによると、プライムデーを主要国で4〜6月期に移したことで、7〜9月期の成長率は約4ポイント低くなりました。この影響がなければ16〜17%増だった計算です。

営業利益は前年同期比61%増の281億ドルで、営業利益率は13.9%と過去最高を更新しました。一方、純利益は2%減の207億ドル、EPSは1.89ドルで、市場予想の1.97ドルを下回りました。前年同期にはAnthropicへの出資による評価益が95億ドル計上されていたため、その反動で純利益が減っています。本業の稼ぐ力はむしろ強まっています。

前四半期(4〜6月)から何が変わったのか

項目4〜6月期7〜9月期
売上高2,006億ドル(+20%)2,019億ドル(+12%)
AWS422億ドル(+37%)460億ドル(+39%)
AWSの営業利益率39.4%38.7%
広告198億ドル(+26%)196億ドル(+11%)
営業利益275億ドル(利益率13.7%)281億ドル(利益率13.9%)
純利益626億ドル207億ドル
フリーキャッシュフロー(直近12か月)−76億ドル−424億ドル
カッコ内は前年同期比。4〜6月期の純利益にはAnthropic株の評価益534億ドル(税引前)を含む。出典:Amazon決算資料、PPC Land、Digital Applied

4〜6月期と比べると、売上と広告の伸び率は大きく下がりましたが、どちらもプライムデーの時期がずれた影響が中心です。その一方で、AWSは前四半期よりさらに加速しました。純利益の大きな差は、4〜6月期にAnthropic株の評価益(税引前534億ドル)が乗っていたためです。

AWS:6四半期連続で加速、39%増

AWSの売上成長率の推移(為替影響を除く)

0%20%40% 17%20%24%28%37%39% 25年4-6月 25年7-9月 25年10-12月 26年1-3月 26年4-6月 26年7-9月

出典:Amazon決算資料、PPC Land

AWSの売上は460億ドルで、市場予想(約457億ドル)を上回りました。年換算では約1,840億ドルの規模です。1年半前には17%まで落ちていた伸び率が、6四半期連続で上がり続けています。営業利益は55%増の178億ドルで、営業利益率は38.7%。会社全体の営業利益(281億ドル)の6割以上をAWSが稼いでいます。

ジャシーCEOは、AWSの売上が2027年と2028年も40%を超えるペースで伸びるという見通しを示しました。さらに「売上1兆ドルの事業はこれまで存在しなかったが、5〜10年でそれが2つ(AWSと小売)生まれるかもしれない」とも話しています。

AIの数字:Bedrockのトークン量は17倍

Bedrock(生成AI基盤)トークン量 約17倍

前年比。Fortune 500企業の支出も約7倍に。OpenAIのGPT-6系やAnthropicのClaude 5系などを提供。

AgentCore(エージェント基盤)数万社が利用

7〜9月期に展開されたエージェントの数は、それまでの3四半期の合計の2倍。

Alexa for Shopping4億人超が利用

直近12か月。やりとりの回数は前年比570%増。Alexa+は日本でも提供開始。

自社チップ TrainiumPyTorchがそのまま動作

既存のコードを書き換えずにTrainiumで動かせる仕組みを導入。売上や出荷数は非公表。

AWSの特徴は、特定のAIモデルに肩入れせず、OpenAI、Anthropic、Meta、自社の「Nova」など多くのモデルを並べて提供していることです。どのモデルが勝っても、AWSの上で動けば売上になる。この「AIの土台を売る」立場が、AWSの加速を支えています。

広告:プライムデーの前倒しで11%増に鈍化

広告売上は196億ドルで、前年同期比11%増(為替影響を除くと12%増)でした。2025年からずっと20%台前半で伸びていたので、数字だけ見ると急ブレーキです。

広告売上の推移と伸び率

177億213億172億198億196億 +22%+22%+22%+26%+12% 前年比(為替影響除く) 25年7-9月 25年10-12月 26年1-3月 26年4-6月 26年7-9月

単位:ドル。2026年はプライムデーが主要国で4〜6月期に移動。出典:Amazon決算資料、PPC Land

Amazonは、減速の主な理由をプライムデーの時期のずれだと説明しています。2025年はプライムデーがすべて7〜9月期に入っていましたが、2026年は主要国で6月に開催しました。セールに合わせて広告の出稿も増えるので、その分が4〜6月期に移ったわけです。実際、4〜6月期と7〜9月期を合わせると広告売上は394億ドルで、前年同期比18%増になります。

Amazonは10〜12月期の広告の伸びを「10%台後半」と見込んでいます。前年同期の22%よりは低い水準なので、プライムデーの影響を除いても、広告の勢いはやや落ち着いてきていると見ることもできます。

広告商品の動き

  • Ads Agent:9月の広告イベント「unBoxed 2026」で、AIエージェントが広告プラットフォームの入り口になった。7月時点で、表示単価8%減、獲得単価6%減の効果があるとしていた
  • Full-Funnel Campaigns:検索連動型、ディスプレイ、動画、テレビ配信の広告をまとめて出せる新しいキャンペーン。米国の全広告主が1日100ドルから利用できる
  • Prime Video:NFLの木曜中継は平均1,770万人が視聴し、前シーズン平均を16%上回った。ジャシーCEOによると、Prime Videoは単体で黒字になった
  • Amazon DSP:名称を「DVA」に変更

投資とキャッシュフロー:12か月で424億ドルのマイナス

設備投資(7〜9月)
773億ドル
前年 351億ドル
2026年の設備投資見通し
約2,200億ドル
4社で最大
営業CF(直近12か月)
1,683億ドル
前年比 +29%
FCF(直近12か月)
−424億ドル
前年 +148億ドル

7〜9月期の設備投資(有形固定資産の購入額)は773億ドルで、前年同期の2倍以上に増えました。2026年の設備投資は約2,200億ドルと、Google、Microsoft、Metaを上回る4社最大の規模です。本業で稼ぐ営業キャッシュフローも直近12か月で1,683億ドルと29%増えていますが、投資の増え方がそれを大きく上回り、フリーキャッシュフローは424億ドルのマイナスになりました。

Amazonは、この投資の大半がAI関連だと説明しています。AWSが40%近い伸びを続けている間は、市場も投資を受け入れやすいでしょう。ただ、借入の増加で支払利息は前年の5億ドルから17億ドルに増えており、投資の重さは数字にも表れ始めています。

今後の見通し:10〜12月期の売上は2,400〜2,470億ドル

  • 売上高:2,400〜2,470億ドル(12〜16%増)。中央値は市場予想の約2,445億ドルをやや下回る
  • 営業利益:285〜335億ドル。前年同期は250億ドル。中央値(310億ドル)は市場予想の約330億ドルを下回る
  • 広告:前年比10%台後半の伸び
  • AWS:2027年、2028年とも40%超の成長を見込む

Amazonの営業利益の会社予想は、8四半期続けて市場予想を下回っています。毎回慎重な予想を出す傾向があるので、この点だけで先行きを悲観する必要はなさそうです。

Googleと比べて見えること

項目(2026年7〜9月)AmazonGoogle
売上高2,019億ドル(+12%)1,276億ドル(+25%)
クラウドAWS 460億ドル(+39%)Google Cloud 307億ドル(+103%)
クラウドの営業利益率38.7%36.2%
広告196億ドル(+11%)820億ドル(+10.5%)
2026年の設備投資約2,200億ドル1,950〜2,050億ドル
フリーキャッシュフロー−424億ドル(直近12か月)−91億ドル(四半期)
Anthropicとの関係出資+Trainium供給出資+TPU供給
出典:各社決算資料、報道

クラウドの規模ではAWSがGoogle Cloudの1.5倍ありますが、伸び率ではGoogle Cloudが大きく上回っています。両社ともAnthropicに出資し、自社のAIチップ(AWSはTrainium、GoogleはTPU)を供給するという、よく似た立場にいます。

広告では、両社の伸び率はたまたま近い数字になりました。ただ、中身は違います。Amazonの減速はプライムデーの時期という一時的な要因が中心ですが、Googleの減速はAI Modeによる検索の変化という構造的な要因を含んでいます。また、Amazonの広告は「買う直前の人」に届くのが強みで、AIエージェントが買い物を代行する時代になっても、Amazonのサイト内で完結する購買には広告を出し続けられます。検索結果からサイトへ人を送る形のGoogleよりも、AIの影響を受けにくい構造です。

EC・広告担当者が押さえておきたいこと

チェックしておきたいポイント

  • Alexa+が日本でも開始:AIアシスタント経由の買い物が日本でも広がる可能性。商品ページの情報の充実度が、AIに選ばれるかどうかに直結する
  • 広告運用のAI化:Ads Agentが広告管理の入り口に。Google、Metaと同じく、AI任せの運用が前提になりつつある
  • リテールメディアの比較:国内のECモールの広告を評価するうえでも、Amazonの広告の伸び方は比較材料になる
  • 年末商戦:10〜12月期の広告は10%台後半の伸びを予想。ブラックフライデー前後の広告単価の動きに注意

まとめ

Amazonの2026年7〜9月期は、AWSが約5年ぶりの39%増と加速し、営業利益率も過去最高になった一方、プライムデーの前倒しで売上と広告の伸びが鈍く見える決算でした。株価が下がったのは、EPSと10〜12月期の利益予想が市場の期待に届かなかったためです。

AWSを中心にAIの土台を売るビジネスは順調で、2027年以降も40%超の成長を見込んでいます。今後の焦点は、約2,200億ドルという巨額の投資を続けながら、AWSの伸びと利益率をどこまで保てるか、そして年末商戦で広告が再び勢いを取り戻せるかです。

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参考資料

※本記事は2026年10月30日時点の公開情報・報道をもとにまとめたもので、投資の判断を勧めるものではありません。金額はドル建ての発表値を億ドル単位に換算し、一部を四捨五入しています。