OpenAIの業績【2026年】年換算売上500億ドル、日本でも始まったChatGPT広告と上場の見通し

決算分析

ChatGPTを運営するOpenAIは、まだ株式を上場していません。そのため、GoogleやMicrosoftのように四半期ごとの決算書は公開されていません。ただ、投資家向けの説明や報道を通じて、売上や赤字の規模はかなり見えるようになってきました。

この記事では、2026年10月末時点で分かっているOpenAIの業績を、Google記事と同じ目線で整理します。特に、GoogleのAI Mode広告と同じ土俵にある「ChatGPT広告」の動きは、日本の広告主やWeb担当者にも直接関係してきます。

この記事のポイント

  • 年換算売上は9月末時点で約500億ドル。年末には700億ドル以上を目指す
  • 4〜6月期の売上は67億ドル、営業赤字は123億ドル。稼ぐ以上に使う状態が続く
  • 8月に企業向けの売上が個人向けを初めて上回った
  • ChatGPT広告は約200日で年換算10億ドルに。日本では2026年6月に開始済み
  • 上場は2027年以降にずれ込む見込み。Anthropicに先を越される形に
OpenAIは非上場企業のため、この記事の数字は会社の発信、投資家向け資料を伝えた報道(Financial Times、Bloomberg、The Informationなど)に基づいています。公式に監査された決算数値ではない点にご注意ください。

業績の概要:年換算売上は約500億ドル

年換算売上(9月末)
約500億ドル
年初 約200億ドル
4〜6月期の売上
67億ドル
前四半期比 +18%
4〜6月期の営業損益
−123億ドル
売上の約1.8倍の赤字
ChatGPT週間利用者
約10億人
2026年8月時点

Financial TimesやBloombergの報道によると、OpenAIの年換算売上(直近の売上ペースが1年続いた場合の金額)は、9月末時点で500億ドル弱でした。2026年の初めは約200億ドルだったので、9か月で2.5倍になった計算です。OpenAIは、年末までに700億ドル以上に達すると投資家に説明しています。

四半期の売上で見ると、1〜3月期が約57億ドル、4〜6月期が67億ドルで、前の四半期から18%増えています。一方、4〜6月期の営業赤字は123億ドルと、売上の2倍近い損失を出しています。AIモデルの開発と運用に必要な計算資源のコストが、売上の伸びを大きく上回っている状態です。

OpenAIの年換算売上の推移

0350700 約200億約400億約500億 700億以上 2026年初め8月9月末年末(目標) 単位:ドル。年換算=直近の売上ペースを1年分に換算した金額

出典:Enterprise DNA(CNBC報道の引用)、TechCrunch、Bloomberg

「700億ドル」報道との食い違い

9月末には、OpenAIの年換算売上が約700億ドルに達したという報道も出ました。ところがその後、Financial Timesが実際は500億ドル弱だと報じ、AI関連株が売られる場面もありました。差の原因は計算方法です。投資家が、Anthropicと同じ方法(クラウド事業者経由の売上も含める)で試算した結果が700億ドルで、OpenAI自身の方法では500億ドル弱になります。AI企業の「年換算売上」は会社によって定義が違うので、単純に比べられない点は覚えておきたいところです。

収益の中身:企業向けが個人向けを逆転

OpenAIの売上は、ChatGPTの有料プラン(個人向け)と、企業向けのChatGPT Enterprise・API・コーディング支援の「Codex」などに分かれます。2026年の初めは個人向けが約6割を占めていましたが、8月にCFOのサラ・フライヤー氏が、企業向けの売上が初めて個人向けを上回ったと投資家に説明しました。年末を目標にしていた逆転を、半年ほど前倒しで達成した形です。

売上の構成の変化

2026年初め 2026年8月 個人向け 約60% 企業向け 約40% 個人向け 企業向け(逆転) 8月の比率は非公表。図はイメージ

出典:Enterprise DNA(CNBC報道の引用)

個人向けも伸びていないわけではありません。1〜3月期時点でChatGPTの有料会員は5,500万人と、2025年末の約4,700万人から増えています。ただ、週間利用者は約10億人いても、そのほとんどは無料プランか低価格の「ChatGPT Go」の利用者です。この大きな無料ユーザー層からどう稼ぐか、その答えのひとつが広告です。

ChatGPT広告:約200日で年換算10億ドル

OpenAIは2026年1月にChatGPTへの広告導入を発表し、2月から米国でテストを始めました。8月末には広告事業が年換算10億ドルを超え、年末には25億ドルを目指しています。10月には提供国が89か国に広がり、これまでに広告を出した企業は10万社を超えました。

ChatGPT広告の展開スケジュール(2026年)

1月2月3月5月 6月8月9月10月 米国の無料・Goプランで広告テストを発表 米国で広告のテスト配信を開始 年換算1億ドルを突破(広告主600社超) 米国でセルフサーブの広告管理画面を開放 日本・韓国で広告配信を開始 年換算10億ドル突破/欧州31か国・インドへ 東南アジア・台湾へ拡大 26か国追加で計89か国、広告主は累計10万社超 年末目標:年換算25億ドル

出典:PPC Land、SiliconANGLE

ChatGPT広告の仕組み

  • 表示される人:無料プランと「Go」プランの利用者のみ。Plus、Pro、Enterpriseなどの有料プランには表示されない
  • ターゲティング:キーワードのリストではなく、会話の話題を表す「コンテキストヒント」で設定する
  • 課金方式:開始時は表示課金(1,000回あたり60ドル)。5月から米国でクリック課金も選べるように
  • 効果測定:米国ではピクセルとコンバージョンAPIによる計測に対応

キーワードではなく会話の文脈で広告を出すという考え方は、GoogleがAI Modeで進めている広告とよく似ています。日本ではChatGPT広告がすでに始まっていて、GoogleのAI Mode広告はまだ対象外です。AIの回答の中に出す広告という新しい市場で、日本ではOpenAIが先に動いている状況です。

とはいえ規模の差はまだ大きく、ChatGPT広告の年換算10億ドルは、Googleの広告売上(年換算で3,000億ドル超)の300分の1ほどです。

赤字と巨額の計算資源契約

計算資源の契約額約8,560億ドル

7月の投資家向け資料での2030年までの計算資源・インフラ支出。2月時点の約6,000億ドルから4割ほど増えた。

2026〜2030年のキャッシュ流出約2,780億ドル

同期間のフリーキャッシュフローの赤字見込み。5月時点の約3,050億ドルからは縮小。

2030年の売上目標約3,500億ドル

2026年の売上見込み(約360億ドル)の約10倍。

資金調達1,220億ドル

2026年3月に評価額8,520億ドルで調達。現在は1.2〜1.4兆ドル規模での追加調達を協議中と報じられている。

OpenAIの計画は、2030年までに売上を約10倍にする一方、そこに至るまでに巨額の赤字を出し続けるという前提に立っています。Financial Timesは、3月に調達した資金が2028年ごろには尽きる見通しだと報じました。売上の拡大と、資金の追加調達の両方が欠かせない状況です。

この「計算資源を買い続ける構造」は、Microsoftの決算にも表れています。MicrosoftがOpenAIから得た売上は、7〜9月期だけで100億ドルにのぼりました。OpenAIの赤字の一部は、そのままMicrosoftやOracleなどクラウド事業者の売上になっています。

今後の見通し:上場は2027年以降に

  • 売上:年末に年換算700億ドル以上を目指す。けん引役は企業向け
  • 広告:年末に年換算25億ドルを目標。新しい広告フォーマットや購入方法、計測ツールを追加予定
  • 上場:2026年中とみられていたが、2027年前半以降にずれ込む見込み。11月にも上場するAnthropicに先を越される

Googleと比べて見えること

項目OpenAIGoogle
主力のAIアプリChatGPT(週間 約10億人)Geminiアプリ(月間 10億人超)
AIの回答内の広告89か国で提供(日本を含む)AI Mode広告を拡大中(日本は未発表)
広告売上年換算10億ドル超四半期820億ドル
収益の柱企業向け>個人向け広告、クラウド、サブスク
利益大幅な赤字営業利益率31.8%
利用者数は指標の定義が異なる(週間と月間)。出典:各社発表、報道

利用者の規模では、ChatGPTとGeminiアプリはほぼ互角になりつつあります。ただし、Googleは検索という巨大な広告事業で稼ぎながらAIに投資できるのに対し、OpenAIは赤字を外部からの資金で埋めながら成長しています。体力の差は歴然です。

それでもOpenAIがGoogleにとって脅威なのは、「AIに聞く」という行動の入り口を押さえているからです。人々が検索の代わりにChatGPTに質問するようになれば、その分だけ検索広告の機会は減ります。ChatGPT広告が急速に国を増やしているのは、その入り口を収益に変えるための動きです。

広告・Web担当者が押さえておきたいこと

チェックしておきたいポイント

  • 日本でもChatGPT広告が出稿できる:AIの回答内広告をいち早く試せる場として検討の余地がある
  • キーワードではなく文脈で考える:会話の話題で配信される仕組み。検索広告とは発想を変える必要がある
  • 有料会員には届かない:広告が出るのは無料・Goプランのみ。ターゲット層とのずれに注意
  • AI経由の流入の計測:ChatGPTからの参照流入はまだ小さいが、アクセス解析で別に見ておきたい

まとめ

2026年のOpenAIは、年換算売上を年初の約200億ドルから500億ドル近くまで伸ばし、企業向けの売上が個人向けを上回るなど、事業の形を大きく変えつつあります。ChatGPT広告も半年あまりで89か国に広がり、日本でもすでに出稿できる状態です。

その一方で、赤字は売上を大きく上回り、2030年まで巨額の資金流出が続く計画です。上場もずれ込みました。売上の伸びと資金調達のどちらかが止まったときにどうなるのか。AI業界全体にとっても、OpenAIの財務は最大の注目点のひとつです。

あわせて読みたい:2026年7〜9月期の決算シリーズ

参考資料

※本記事は2026年10月29日時点の公開情報・報道をもとにまとめたもので、投資の判断を勧めるものではありません。OpenAIは非上場企業のため、数字は報道ベースであり、算出方法が他社と異なる場合があります。金額は億ドル単位に換算し、一部を四捨五入しています。