Google検索オフィスアワーまとめ|2025年12月18日分

検索を学ぶ

2025年12月18日に公開された回は、これまでのオフィスアワーとは形式がまったく異なります。司会者が質問を読み上げる通常のQ&A形式ではなく、Google社員複数名が会場からの質問にその場で答えるパネル形式の収録で、49分と長尺です。内容から、2025年11月7日に開催されたSearch Central Live Tokyoでの質疑応答セッションを収めたものと考えられます。

扱われた話題は幅広く、AI検索への最適化、Googleトレンドの仕組み、インデックスの上限、構造化データとランキングの関係、自動翻訳コンテンツの是非などが語られています。

この記事を読む前に

この回については、いくつか注意点があります。

まず、動画の概要欄に章立てが用意されていません。他の回では質問ごとのタイムスタンプが整理されていますが、この回にはそれがないため、以下では話題ごとに整理しています。

またセッションは英語で行われており、日本語字幕は自動翻訳です。専門用語の訳がぶれている箇所があり、たとえばGeminiが星座名として訳されている部分もあります。以下の内容は文意を汲んで整理していますが、重要な判断に使う場合は該当箇所を動画で直接確認することをおすすめします

さらに、会場からの質問部分は音声が拾えていない箇所が多く、回答だけが残っている状態です。そのため「何を聞かれたか」ではなく「何が語られたか」を中心にまとめています。

登壇者は複数名で、それぞれ専門領域が異なります。発言の帰属が明確でない箇所があるため、以下では個人名を特定せずGoogle側の説明として記載しています。

語られた内容

robots.txtとnoindexは互換ではない

まず明快な説明から。robots.txtとnoindexは同じ傘下にあるが、まったく異なるものである、という整理が示されました。

robots.txtは、Googleに限らず一般的なクローラーに対して、特定のURLをクロールしてほしくないと伝えるもの。noindexは、そのURLをインデックスに含めてほしくないと指定するもの。

そして重要なのが、robots.txtでブロックしているとnoindexを伝えられないという点です。noindexはページ内のメタタグかHTTPヘッダーにしか置けず、どちらもURLにアクセスしないと読めません。robots.txtはアクセスする前に参照するファイルなので、そこでブロックしてしまうとnoindexの存在自体が分からなくなります。

したがって、クロールを制御したいならrobots.txt、検索結果への表示を制御したいならnoindexを使う。この2つは使い分けるものであって、置き換えられるものではない、という説明でした。

同じ論点は2025年3月27日の回のPDFに関する質問でも扱われています。そちらでもベストプラクティスはX-Robots-Tagのnoindexであり、それが使えない場合にrobots.txtを使う、という順序が示されていました。

AI検索への最適化について

AIに向けて最適化する場合は、対象となるAIシステムの下にあるテクノロジースタックを念頭に置く必要がある、という前置きから説明が始まります。

そのうえで、GoogleのAIによる概要やAIモードは、従来の検索インデックスと検索クローラーそのものであると述べられました。Geminiの場合は多少異なるものの、おおむね同じ。ただしチャットインターフェース向けに最適化されているため、従来の検索表示向けとは違う部分がある、という説明です。

そして検索に関しては、他に何もする必要はないと本当に信じているという言い方をしています。Gemini向けについても、相性の良い追加の構造化データのようなものはないと思う、と述べられました。

またSearch ConsoleではAI機能からのクリック数やインプレッション数も表示されるため、自分がAIに引用されているかどうかをほぼ確認できる、という補足もありました。

補足:この立場は、これまでのオフィスアワーと完全に一貫しています。2025年8月7日の回では「AI Overviewsのために構造化データを入れるべきか」という質問にイエスと答えず、2026年6月18日の回ではGEOを独立領域として扱うのかと問われて「生成AI機能はコアの検索ランキングと品質システムに根差している」と回答しています。

この回の言い方が最も直截で、AI Overviewsとは要するに従来の検索インデックスとクローラーである、と言い切っています。

「SEOは死んだ」という話について

この回で最も印象的なくだりです。

SEOが死んだという最初の言及は1998年である、という指摘から始まります。1998年といえばGoogleの設立から1年かそれ以下ですが、その時点ですでにSEOは死んでいたことになっている。理由は、当時もユーザーの行動が変化していたからです。

そこから検索の変遷が語られます。2000年代前半にGoogle画像検索が必要だと気づき、2005年にはニュースイベントを背景にGoogleニュースが必要だと分かり、2007年にはユニバーサル検索を追加した。ユーザーが変化するたびに検索機能も変化してきたが、SEOは廃れなかった。検索エンジンとユーザーの変化に合わせて進化してきただけである、という整理です。

現在起きている変化については、「人々が怠惰になっている」「情報を提供してもらうことを求めている」という表現が使われました。そしてこの変化を推進しているのはZ世代であり、彼らが市場に参入して変化を求めていると述べています。

ユーザー行動の変化について調べたい場合の情報源として、thinkwithgoogle.comが挙げられました。広告側から出ている調査であってエンジニアリング側やオーガニック側のものではないものの、興味深い洞察が公開されている、という紹介です。

別の登壇者からは、AIがすべてを変えつつあるという補足がありました。コンテンツ作成にAIが使われ、検索においてはAIがコンテンツを見つけやすくしている。一方でまだ追いついていないのは、Search ConsoleやGoogleトレンドといったツールにAIを組み込み、制作者がより深い洞察を得られるようにすること。その作業はSearch Consoleですでに始まっており、近いうちに実現することを期待してほしい、と述べられました。

Googleトレンドをコンテンツ企画に使う

コンテンツ制作者がGoogleトレンドをどう使えばよいか、という話題です。

まず、注力しているトピックの用語をGoogleトレンドに入力し、時間の経過とともにどうトレンドしているかを確認する。このとき地域設定を、自分のオーディエンスがいる国や地域に合わせるのが前提になります。日本向けのコンテンツを作っているなら、日本の検索関心を表示させて用語やトピックを比較する。

多くの人に効果があるもうひとつの方法として、質問を調べるやり方が紹介されました。トピックに関連して「誰が」「なぜ」「何を」「いつ」といった語を追加し、実際にトレンドになっている上位の質問を確認する。探索ページで比較項目として表示する方法と、関連クエリを調べてそのクエリをさらに探す方法が挙げられています。

これに対してSearch Console側からの補足もありました。読者について考えるなら、実際にサイトへアクセスしている人々を見るべきで、パフォーマンスレポートを見ればトラフィックを誘導している上位のクエリが分かる。そこから興味を推測できるほか、本来トリガーされるべきなのに順位が低いクエリを見つけて改善対象にすることもできる、という内容です。

Googleトレンドのトピックは何なのか

Googleトレンドで「Apple」と検索すると、テクノロジー企業としてのAppleと果物としてのappleに加え、Appleのロゴが付いた別の候補も表示される。あれは何か、という質問への回答です。

トピックはナレッジグラフから取得されている、と明言されました。ナレッジグラフはGoogleが管理しているもので、Googleトレンドだけのものではなく全体に存在する概念であり、時間とともに進化していく。実体としては、現実世界のエンティティの構造を表す、互いにマッピングされたエンティティの集合体である、という説明です。人、企業、イベントなど、Wikipedia記事にあるような対象がこれにあたり、ほとんどのWikipedia記事にはナレッジグラフのエンティティが対応しているとのことでした。

クエリとトピックの紐付けについては、ユーザーが入力したクエリの文脈から判断される、と説明されています。単に「apple」とだけ入力した場合は文脈が足りないが、Appleの株価について尋ねるようなクエリであれば企業のほうだと分かる。Google検索がクエリの意味を理解しようとし、その意味が検索ログの一部として記録され、それがGoogleトレンドにも反映される仕組みです。

実務上重要なのはここからです。 この紐付けは時間とともに変化するため、トピックの検索関心度を見ていると、値がゼロに落ちたり急に変わったりする小さなジャンプが見られることがある。これはGoogleのバックエンドでクエリとトピックの関連付けに変更があったことを意味しており、Google側でもあまりコントロールできない、と述べられました。

対処法として、安定した履歴が欲しいならトピックではなくクエリだけを見るほうがよいという助言が出ています。あるいはトピックのバリエーションを追加して、検索関心がどこへ移ったかを確認する。簡単な答えはないが、それでも非常に便利な機能である、という締めくくりでした。

インデックスは無限ではない

どんな技術システムにも限界があるので、Googleのインデックスにも制限を設ける必要がある、と明言されています。インデックスは無限ではないという点は、そのまま肯定されました。

ただしそれは静的という意味ではない。インデックスのページは入れ替わるものであり、競合他社より質の高いものを公開すれば、競合がインデックスから外れて代わりに自分が入る可能性がある、という説明です。

続けて、競争が激化した背景についての見解が語られます。ある時点からインターネット上に大量のコンテンツが作られ始めたため、あらゆるニッチで競争が非常に激しくなった。その結果、Bing、Googleを問わずクリックを獲得するのが非常に難しくなっている、という認識です。

ではどうするか、という問いに対しては、マーケティングの話に切り替わります。SEOのマーケティング面とは人々をサイトに誘導することであり、その手段はソーシャルメディアへの投稿など多様にある。そして人々が自発的にサイトを訪れるようになれば、Googleもそのサイトをより高く評価する可能性が非常に高くなる、と述べられました。

インデックス率を上げるには

インデックス率を改善する方法についての回答です。

ユーザーが役に立つと思うようなコンテンツを公開する必要がある、というのが結論。一般的に言えば高品質であること、つまり文章を書いたり画像や動画を作成したりする際に何らかの専門知識を投入したということです。有用なコンテンツを公開すればインデックス率は上がり、人々が興味を持たないものを公開すればインデックス率は下がる、という整理でした。

技術面からの補足として、少し古風に聞こえるかもしれないがサイトマップがある、という話が出ています。何の約束もできないが、少なくとも技術的な観点からコンテンツの所在を把握できるようにし、それが邪魔にならないようにし、クロールできるようにしてほしい、と。

そしてもうひとつ、ブロックしないでほしいという点が強調されました。最近はランダムなCDNがランダムにトラフィックをブロックすると決めることがあり、注意すべき点がまた増えている。CDNやファイアウォールを確認し、自分で設定した覚えのないルールがないか調べてほしい、という助言です。

Search Consoleはインデックスを制御していない

Search Consoleでページが表示される理由や表示されない理由をデバッグできるようにならないか、という質問への回答です。

できる限り多くの情報を提供しようとしているが、その問いには答えられない、という前置きから始まります。理由は、Search Consoleはシステム内にあるものをそのまま表現しているだけで、決定を下しているわけではないため。インデックスに何を入れるか入れないかを制御しているのはSearch Consoleではない、と明言されました。

そのうえで、提供しているツールでできることが列挙されます。トラフィックの発生源を見れば何が起こっているか理解できる。ページが表示されなくなった場合はクロールに問題がある可能性があり、それに関するレポートが用意されている。構造化データを追加したのに正しく処理されていない場合も、それに関するレポートがある。サイト所有者に対して、Googleが何を見てどうコンテンツを処理しているかを可能な限り透明に示すよう努めている、という説明でした。

その流れで別の登壇者から、質の高いコンテンツを作り、発見しやすくアクセスしやすいようにし、ユーザーをイライラさせない良いウェブサイトであることを確認してほしい、というコメントが添えられています。

構造化データはランキングに影響しない

短いながら明確な発言として、構造化データはランキングに影響を与えないという一文が出ています。

補足:この点は他の回とも整合しています。2025年8月7日の回では、AI Overviewsのために構造化データを入れるべきかという質問に対し、一般論としてGoogleがコンテンツを理解する助けになるとしか答えていませんでした。構造化データはリッチリザルトの表示要件であって、順位を上げるための施策ではない、という位置づけが繰り返し確認されていることになります。

自動翻訳コンテンツについて

多言語展開と自動翻訳の扱いについて、状況は以前とほぼ同じという回答でした。

少なくとも翻訳の質が理解できるレベルであることを確認する何らかの努力が必要である、という立場です。具体例として、中国語圏で見かけた料理名の英訳がひどく誤訳されていたケースが挙げられ、それがユーザーにとってどう役立つのかという問いが投げかけられました。

チェック方法としては、逆翻訳して元と同じ意味になっているかを確認するやり方が挙げられています。ただし言語にはニュアンスがあるため、逆翻訳しても意味が失われることはよくある。それでも少なくとも余計なものが入っていないことは分かる、という補足がありました。

2年前に言ったことと同じで、誰かがAI翻訳をチェックすればそれで済む、という見解を維持する、と締めくくられています。

まとめ

通常回とは形式が違うため個別の質問への回答という形にはなっていませんが、内容の密度は高い回でした。

拾いどころを挙げるなら3つです。ひとつはAI検索への最適化についての言い切り方で、AIによる概要やAIモードは従来の検索インデックスとクローラーそのものであり、検索に関しては他に何もする必要はないと述べています。オフィスアワーで繰り返されてきた立場の中でも、最も直截な表現です。

ふたつめはインデックスが有限であることの明言と、それが動的に入れ替わるという説明。競合より質の高いものを出せば入れ替われる、という言い方は具体的です。

みっつめはGoogleトレンドのトピックがナレッジグラフ由来のエンティティであるという説明と、その紐付けが時間とともに変わるという注意点。安定した推移を見たいならトピックではなくクエリを使え、という助言は、Googleトレンドを分析に使っている人には実用的でしょう。

「SEOは死んだ」の初出が1998年であるというくだりも、検索の変遷を振り返る材料として記憶に残ります。ユーザーが変わるたびに検索は変わってきたが、SEOはそのたびに進化しただけである、という見立てです。

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