Helpful Content Updateの全記録|2022年の導入から2024年のコア統合まで

検索を学ぶ

Helpful Content Updateは、2022年8月から2023年9月まで、わずか3回しか実施されていません。それなのに、この数年でもっとも語られたアップデートになりました。

理由は2つあります。ひとつはページ単位ではなくサイト単位で評価するという、それまでにない仕組みだったこと。もうひとつは、2023年9月の更新で手書きの個人ブログが大量に消えたことです。

そして2024年3月、Googleはこの仕組みをコアアルゴリズムに統合し、独立したアップデートとしては終了させました。この記事では、その2年間の記録をまとめます。

Helpful Content Updateとは何だったのか

Googleが2022年8月に導入した、「検索エンジンのために作られたコンテンツ」を判定する仕組みです。

それまでのアップデートと何が違ったか

従来のアップデートは、基本的にページ単位で評価していました。質の低いページの順位が下がる。単純な話です。

HCUはここが違いました。サイト全体を見て、検索エンジン向けに作られたコンテンツの割合が高いサイトに、サイト全体で不利に働くという設計です。

つまり、1本の記事がどれだけ良くても、周りに量産記事が並んでいれば足を引っ張られる。逆に言えば、質の低い記事を消すことが、残りの記事にとってプラスになりうるという、それまでになかった発想が持ち込まれました。

なぜこの仕組みが必要になったのか

2020年前後、検索結果には特定のパターンの記事が溢れていました。

「◯◯とは」で始まり、一般論を並べ、結論を先延ばしにし、最後に商品リンクを置く。実際に使った人にしか書けない情報は入っていない。それでも上位に出る。検索意図には合っているように見えるからです。

こうした記事は、人力でも十分に量産できました。そこへ2022年11月、ChatGPTが公開されます。HCUの導入は、生成AIの一般化よりわずかに早い。Googleは量産コンテンツの増加を、AI以前から問題視していたことになります。

3回の更新で何が起きたか

開始日名称期間概要
2022/8/25August 2022 helpful content update15日初回。英語圏のみ
2022/12/5December 2022 helpful content update38日全言語へ拡大
2023/9/14September 2023 helpful content update13日11時間最大の変動。業界の反発を招く

2022年8月|静かだった初回

初回は英語圏のみが対象で、影響は限定的でした。事前の告知が大きかったわりに、実際の変動は「思ったより静か」というのが当時の業界の受け止めです。

この時点でGoogleが示した判断基準は、いま読んでも参考になります。要約すると、特定の読者を想定しているか、実際の経験や知識に基づいているか、読んだ人が満足して離脱できるか。そして「検索エンジンからの流入のために作ったか」という問い。

2022年12月|全言語へ、そして38日間

12月5日から38日間かけて、対象が全言語に広がりました。日本語サイトが初めて本格的に対象になったのがこのタイミングです。

ただし年末年始をまたいだこともあり、変動の実感は分散しました。この時期の日本語検索の動きについては、業界でもまとまった分析があまり残っていません。

2023年9月|個人ブログが消えた

問題はここで起きました。

9月14日から13日間の更新で、大きく順位を落としたのは大手メディアではなく、個人や小規模のサイトでした。趣味で続けていたレシピブログ、自分で買って試したレビューサイト、専門的だが規模の小さいメディア。

「役に立つコンテンツを評価する」はずのアップデートで、人間が手で書いていたサイトが消えた。この矛盾に対する批判は、かなり強いものになりました。海外では実名で被害を訴えるサイト運営者が続出し、Googleの担当者が説明に追われる展開になっています。

逆に、大手メディアが運営する量産型の比較記事は、必ずしも落ちませんでした。ドメインの規模が判定に影響しているのではないかという指摘が出たのもこのときです。

【業界記録】 「小規模サイトが不利になった」という評価は、業界の観測と被害報告に基づくものです。Googleが判定にドメイン規模を使っていると公式に述べたことはありません。

2024年3月、コアアルゴリズムへ統合

2024年3月5日に始まったコアアップデートで、GoogleはHelpful Content Updateをコアアルゴリズムに統合しました。独立した更新としては、これで終了です。

このコアアップデートは完了まで45日かかっています。歴代最長で、Googleは複数の仕組みを同時に入れ替えたため通常より変動が大きくなる、と事前に説明していました。

統合が意味すること

実務への影響は、次の3点です。

1. 「HCU対策」という概念が消えた
専用のアップデートがなくなったので、それに向けた対策も存在しません。コアアップデートへの対応と同じ話になりました。

2. 「次のHCUで回復する」が成立しなくなった
以前は、対策して次の更新を待つという戦い方ができました。統合後は継続的に評価が更新されるので、直したぶんが少しずつ反映される形に変わっています。

3. 判定が見えにくくなった
独立したアップデートだった頃は、変動のタイミングから原因を推測できました。コアに溶けた以上、それも難しくなっています。

2024年8月、Googleは軌道修正した

2024年8月15日のコアアップデートについて、Googleは前年9月のHCUで下落した小規模サイトの一部を回復させる意図があるという趣旨の説明をしています。19日4時間のロールアウトでした。

前年の対応が行き過ぎだったことを、事実上認めた形です。ただし実際に回復したサイトは限定的で、戻らなかった運営者からの不満は残りました。

いま何をすべきか

HCUという名前は消えましたが、考え方は残っています。むしろコアに統合されたことで、常時効いている状態になりました。

サイト単位で見るという視点

HCUがもたらした最大の変化は、個々の記事ではなくサイト全体を見るという視点です。これは統合後も変わりません。

手を入れるとしたら、順番はこうなります。

  1. 流入がほぼないページを洗い出す。Search Consoleで表示回数がゼロに近いURLを抽出します
  2. そのページが存在する理由を確認する。ユーザーのために作ったのか、検索流入のために作ったのか
  3. 後者なら、統合か削除を検討する。似た内容の記事が複数あるなら1本にまとめる
  4. 一度に大量に消さない。何が効いたか分からなくなります

やってはいけないこと

  • 影響を疑ってサイト全体を作り直す。原因が別のところにあった場合、取り返しがつきません
  • 「HCU対策」を謳う施策に飛びつく。統合済みなので、そもそも対象が存在しません
  • AIで書いたことを問題視して全部書き直す。判定基準は作り方ではありません

AIコンテンツとの関係

HCUの文脈で必ず出る話なので、はっきりさせておきます。

Googleは生成AIの使用を禁止していません。2024年3月に新設されたスパムポリシー「大規模なコンテンツの不正使用」が対象としているのは、検索順位を操作する目的で価値のないページを大量生成する行為で、手段がAIか人力かは区別されていません。

ただし現実的には、AIで量産されたページの多くがこの定義に当てはまってしまう。ツールの問題ではなく、使い方の問題です。

日本語サイトへの影響について

日本語圏でのHCUの影響は、英語圏ほど明確な形では観測されていません。

理由はいくつか考えられます。初回が英語圏限定だったこと、日本語での本格適用が2022年12月と年末に重なったこと、そして日本のアフィリエイトサイトはすでに2017年の日本語検索アップデートと2018年のコアアップデートで一度整理されていたこと。

ただしこれは推測です。日本語検索におけるHCUの影響を体系的に測定したデータは、公開されているものが見当たりません。ここは今後、実測で埋めるべき空白だと考えています。

→ 日本語検索固有の話は日本語検索限定アップデートの全記録でまとめています。

よくある質問

Helpful Content Updateは今もありますか?

独立したアップデートとしては実施されていません。2024年3月のコアアップデートでコアアルゴリズムに統合され、現在は継続的に評価が更新される形になっています。

HCUで下がったサイトは回復しますか?

2024年8月のコアアップデートで一部が回復した例はありますが、限定的でした。統合後は継続評価なので、改善すれば少しずつ反映される可能性はあります。ただし特定の日に一斉回復するような動きは、以前ほど期待できません。

サイトの一部だけが問題でも、全体が影響を受けますか?

HCUはサイト全体を見る仕組みでした。ただしどの程度の割合で影響が出るのか、Googleは具体的な基準を公開していません。

記事を削除すれば回復しますか?

削除が有効なケースはありますが、判断を誤ると流入のあったページまで失います。まず流入がほぼないページに限って検討し、少しずつ進めてください。

参照した情報源

アップデート全体の流れはGoogleアップデートの歴史、コアアップデートの個別記録はGoogleコアアップデートの歴史でまとめています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました