順位が落ちたとき、最初にやるべきことは「原因を探すこと」ではありません。何もしないことです。
この記事では、そこから始まる調査の手順を順番に説明します。飛ばすと遠回りになるので、上から順にやってください。
STEP 0 まず、何もしない
いちばん重要で、いちばん守られない工程です。
なぜ動いてはいけないのか
コアアップデートのロールアウトは、完了まで平均2週間前後。最長では45日かかった例があります。その間、順位は上下に揺れ続けます。
この期間中に記事を修正すると、何が原因で何が効いたのか、永久に分からなくなります。順位が戻ったとして、それが自分の修正の成果なのか、ロールアウトの揺り戻しなのか、区別する方法がありません。
次に同じことが起きたとき、判断材料がゼロのまま迎えることになります。
確認すること
Google Search Status Dashboardを開いて、ロールアウトが完了しているかを見ます。「Completed」になっていなければ待ちます。
STEP 1 変動の開始日を1日単位で特定する
Search Consoleの検索パフォーマンスを開きます。
見るべき指標
クリック数ではなく、表示回数と平均掲載順位を見てください。
クリック数は季節要因、曜日、SERPの表示形式でも動きます。一方、平均掲載順位が明確に下がっているならランキングの問題です。表示回数だけが落ちて順位が変わっていないなら、検索需要そのものが減ったか、SERPでの見え方が変わった可能性があります。
手順
- 期間を「過去3か月」に設定
- 「合計クリック数」「合計表示回数」「平均CTR」「平均掲載順位」を全部オンにする
- 日別グラフで、変化が始まった日を特定する
- 「比較」タブで、変動前後の同じ日数を比較する
ここで「じわじわ下がった」のか「ある日を境に落ちた」のかを見分けます。前者は競合の変化やコンテンツの陳腐化、後者はアップデートか技術的な事故の可能性が高くなります。
STEP 2 アップデートの期間と照合する
特定した日が、Googleが公表しているアップデートの期間と重なるかを確認します。
→ Googleアップデートの歴史の一覧表で、日付から絞り込めます。
複数のアップデートが重なる期間に注意
近年、種類の違うアップデートが数日差で走るケースが増えています。
- 2023年10月:スパムアップデート(10/4)とコアアップデート(10/5)が並走。さらに26日間の「ランキングの不具合」も重複
- 2024年12月:コアアップデート完了の約1週間後にスパムアップデート
- 2026年3月:スパムアップデート(3/24)の3日後にコアアップデート(3/27)
こうした期間に落ちた場合、原因を一つに特定するのは諦めてください。切り分ける手段がありません。両方の可能性を前提に進めます。
ツールの反応は根拠にならない
順位変動チェックツールが大きく振れていても、Googleが公表していないなら確定情報ではありません。未確認の変動は、翌週に元へ戻ることも珍しくない。Search Status Dashboardに記載がなければ、アップデートとして扱わないのが基本です。
STEP 3 落ちた範囲を切り分ける
ここで対応の方向が決まります。Search Consoleの検索パフォーマンスを、ページ別・クエリ別・ディレクトリ別に見ていきます。
| 落ち方 | 疑うべきこと | 次にやること |
|---|---|---|
| サイト全体が均等に落ちた | コアアップデート、サイト単位の評価変更 | サイト全体の品質を見る。個別記事の修正では動かない |
| 特定カテゴリだけ落ちた | そのジャンルの検索意図の変化、専門性の評価 | そのカテゴリのSERPを実際に検索して確認 |
| 特定ページだけ落ちた | ページ固有の問題、競合の入れ替わり | 上位ページと自分のページを比較 |
| 特定クエリだけ落ちた | SERPの構成変更 | AI Overviews、強調スニペット、動画枠の有無を確認 |
| 急激にゼロ近くまで落ちた | 手動対策、インデックス削除、技術的事故 | STEP 4へ。アルゴリズムの問題ではない可能性が高い |
SERPを実際に見る
データだけ見ていても分かりません。落ちたクエリで実際に検索してください。
上位に何が並んでいるか。自分より上のページは何を持っているか。SERPの構成そのものが変わっていないか。AI Overviewsが出るようになっていれば、順位が同じでもクリックは減ります。
STEP 4 アルゴリズム以外の可能性を潰す
意外と多いのがこれです。アップデートのせいだと思い込んで数週間調べた結果、原因は自分たちの変更だった、というケース。
チェックリスト
- 手動による対策:Search Consoleに通知が来ていないか。来ていなければペナルティではありません
- サイトの変更:該当期間にリニューアル、URL変更、テーマ更新、プラグイン追加をしていないか
- robots.txt:クロールをブロックしていないか
- noindex:テーマ更新やプラグインが勝手に付けていないか
- canonical:意図しないURLを指していないか
- リダイレクト:リニューアル時の301が漏れていないか、チェーンになっていないか
- サーバー:該当期間に障害、応答遅延、5xxエラーが出ていないか
- インデックス数:Search Consoleのページレポートで、インデックス済みが急減していないか
とくにWordPressのテーマやプラグインの更新は要注意です。noindexやcanonicalの挙動が変わって、気づかないうちにインデックスから外れていることがあります。
STEP 5 手を入れる
ここまでで原因の見当がついたら、ようやく修正に入ります。
原則1:一度に大量に変えない
50記事をまとめて書き直すと、効いた施策と効かなかった施策が混ざって検証できません。10〜20記事ずつ、期間を空けて進めます。
原則2:削除は最後の手段
順位が落ちたページを削除すると、回復する可能性を自分で消すことになります。削除を検討していいのは、流入がほぼゼロで、かつ内容として残す理由がないページだけです。
原則3:記録を残す
いつ、どのページに、何をしたか。これを残しておかないと、次のアップデートのときに同じ調査を一からやり直すことになります。スプレッドシート1枚で十分です。
回復までにかかる時間
期待値を現実に合わせておきます。
| 原因 | 回復の目安 |
|---|---|
| 技術的な事故(noindex、サーバー等) | 修正後、再クロールされ次第。数日〜数週間 |
| 手動対策 | 違反を解消し、再審査リクエストが承認されてから |
| スパムアップデート | 違反をやめれば、次回以降の更新で |
| コアアップデート | 次回以降のコアアップデート。数か月単位 |
コアアップデートによる下落について、Googleは次回以降のコアアップデートまで回復しないことがあると説明しています。改善しても、すぐには反映されません。
なお、改善しなければ次回で自動的に戻るわけでもありません。待てば戻る、という話ではないので、そこは分けて考えてください。
やってはいけないこと
- ロールアウト中に修正する
- 原因が分からないまま大量にリライトする
- 落ちたページを慌てて削除する
- 未確認の変動に対応する
- 「◯◯アップデート対策」を謳う施策に飛びつく
- 被リンクを慌てて否認する(Penguin以降、不自然なリンクは基本的に無効化される扱いです)
よくある質問
順位が落ちてから何日待つべきですか?
アップデートのロールアウトが完了するまでは待ってください。完了後さらに数日様子を見て、戻らなければ調査に入ります。
手動対策を受けているかどうか、どこで分かりますか?
Search Consoleの「手動による対策」です。通知が来ていなければ受けていません。ここに何も表示されていないなら、原因はアルゴリズムかサイト側の問題です。
コアアップデートで落ちました。何を直せばいいですか?
特定の修正項目はありません。Googleが示しているのはコンテンツの質に関する一般的な観点だけです。まず落ちた範囲を切り分け、そのクエリで上位にあるページと自分のページを比較してください。
記事を削除すれば回復しますか?
ケースによります。ただし削除は不可逆なので、まず流入がほぼないページに限って検討してください。順位が落ちただけのページは、回復する可能性が残っています。
参照した情報源
アップデートの一覧はGoogleアップデートの歴史、コアアップデートの個別記録はGoogleコアアップデートの歴史でまとめています。


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