スパムアップデートは、コアアップデートと混同されがちです。ただこの2つは、目的も、対象も、回復の仕方も違います。
いちばん大きな違いはここです。コアアップデートで順位が落ちてもルール違反ではありませんが、スパムアップデートで落ちたなら、ポリシーに違反している可能性があります。
スパムアップデートとコアアップデートの違い
| スパムアップデート | コアアップデート | |
|---|---|---|
| 目的 | ポリシー違反サイトの検出と降格 | 検索結果全体の評価の見直し |
| 対象 | 違反しているサイト | すべてのサイト |
| 性格 | 実質的な制裁 | 相対評価の組み替え |
| 落ちた意味 | 違反している可能性がある | 違反とは限らない |
| 回復 | 違反をやめれば次回以降の更新で | 次回以降のコアで再評価 |
| 期間 | 数時間〜26日 | 6日〜45日 |
スパムアップデートのほうが短時間で終わる傾向がありますが、例外もあります。2025年8月のスパムアップデートは26日15時間、2026年3月は19時間30分。7〜30倍の開きがあり、期間から中身は推測できません。
手動対策との違い
もう一つ混同されやすいのが「手動による対策」です。
- スパムアップデート:アルゴリズムによる自動的な検出。通知は来ない
- 手動による対策:Googleの担当者が人手で行う措置。Search Consoleに通知が届く
順位が落ちてSearch Consoleに何も通知が来ていないなら、手動対策ではありません。アルゴリズム側の判定です。手動対策には再審査リクエストがありますが、アルゴリズム判定にはありません。違反をやめて、次の更新を待つしかない。
スパムポリシーの中身
Googleが公開しているスパムポリシーで、現在挙げられている主な違反は次のとおりです。
- クローキング:検索エンジンとユーザーに違う内容を見せる
- 誘導ページ(ドアウェイ):検索流入のためだけの中継ページを量産する
- 隠しテキスト・隠しリンク:背景と同色の文字、画面外への配置など
- キーワードの乱用:不自然な詰め込み
- スクレイピング:他サイトのコンテンツを転載して独自の価値を足さない
- リンクスパム:売買リンク、過剰な相互リンク、自動生成リンク
- ハッキングされたコンテンツ
- マルウェア・不正な動作
- ユーザー生成スパム:コメント欄や掲示板の放置
- 大規模なコンテンツの不正使用(2024年3月新設)
- サイトの評判の不正使用(2024年3月新設)
- 期限切れドメインの不正使用(2024年3月新設)
2024年3月に追加された3つが重要
後半の3つは新しく、いま最も摘発が多い領域です。
大規模なコンテンツの不正使用は、検索順位を操作する目的で価値のないページを大量生成する行為です。手段がAIか人力かは区別されていません。生成AIの使用そのものは禁止されていない、という点をここで押さえておいてください。
サイトの評判の不正使用は、日本で「寄生SEO」と呼ばれるものです。権威のあるドメインの一角を借りて、無関係なアフィリエイト記事を置く。大手メディアのサブディレクトリに脱毛やクレジットカードの比較記事が並ぶ、あの現象です。2024年5月から手動対策が始まりました。
期限切れドメインの不正使用は、過去に評価のあったドメインを買い取って、まったく別の内容で使う行為です。
→ 詳しくは寄生SEOとサイトの評判の不正使用で解説しています。
SpamBrainという仕組み
Googleは2018年からSpamBrainという機械学習ベースのスパム検出システムを運用しています。
この仕組みが表に出たのが2022年12月のリンクスパムアップデートです。ここでGoogleは、SpamBrainを使って不自然なリンクを無効化する方式を採りました。
ペナルティを与えるのではなく、リンクをなかったことにする。これは実務的に大きな違いです。買ったリンクは効かなくなるだけで、そのリンクが原因でマイナス評価を受けるわけではないという扱いになりました。
この変化があるため、被リンクを慌てて否認する必要性は以前より下がっています。否認ツールは、手動対策を受けている場合など限られた状況で使うものになりました。
スパムアップデート全記録
Search Status Dashboardに記録が残っている2021年11月以降の全件です。
| 開始日 | 名称 | 期間 |
|---|---|---|
| 2021/11/3 | November 2021 spam update | 8日1時間 |
| 2022/10/19 | October 2022 spam update | 2日 |
| 2022/12/14 | December 2022 link spam update | 29日 |
| 2023/10/4 | October 2023 spam update | 15日12時間 |
| 2024/3/5 | March 2024 spam update | 14日21時間 |
| 2024/6/20 | June 2024 spam update | 7日1時間 |
| 2024/12/19 | December 2024 spam update | 7日2時間 |
| 2025/8/26 | August 2025 spam update | 26日15時間 |
| 2026/3/24 | March 2026 spam update | 19時間30分 |
| 2026/6/24 | June 2026 spam update | 2日1時間 |
2021年11月以前にも、2021年6月のスパムアップデート(Part 1 / Part 2)、2021年7月のリンクスパムアップデートなどが実施されていますが、正確な所要時間の公式記録は残っていません。
この表から読めること
頻度は年1〜2回で安定しています。コアアップデートの年3〜4回と比べると少ない。スパム対策は日常的に継続実行されていて、大きな仕組みの入れ替え時だけ告知される、という運用だと考えられます。
そして近年、コアアップデートの直前に実施される傾向があります。2024年3月は同日、2026年3月は3日前。この並びだと、順位が落ちたときにスパム判定なのかコアの再評価なのか、サイト側からは判別できません。
スパムアップデートで落ちたと思ったら
1. まず手動対策を確認する
Search Consoleの「手動による対策」を見ます。通知があれば、そこに違反の種類が書かれています。これが最も明確な情報です。
2. 通知がなければ、心当たりを洗う
アルゴリズム判定の場合、何が原因かは教えてもらえません。上のポリシー一覧を上から順に自分のサイトに当てはめて確認していきます。
とくに意図せず該当しやすいのが次の3つです。
- ユーザー生成スパム:コメント欄やフォーラムを放置していないか
- ハッキングされたコンテンツ:知らないうちに不正なページが生成されていないか。
site:検索で自サイトを確認すると見つかることがあります - スクレイピング:引用が多すぎて、独自の価値が足りていないページがないか
3. 違反をやめて、次を待つ
アルゴリズム判定に再審査リクエストはありません。違反を解消したうえで、次のスパムアップデートを待つことになります。年1〜2回のペースなので、数か月から1年近くかかる可能性があります。
4. 心当たりがないなら、疑いを外す
ポリシーを一通り確認して何も該当しないなら、原因はスパムアップデートではない可能性が高い。同時期に走っていたコアアップデートか、サイト側の技術的な問題を疑ってください。
よくある質問
スパムアップデートで落ちたら、ペナルティを受けたということですか?
アルゴリズムによる判定なので、手動対策とは別です。Search Consoleに通知は届きません。ただしポリシー違反が検出された可能性はあります。
再審査リクエストは出せますか?
アルゴリズム判定には再審査リクエストがありません。出せるのは手動対策を受けている場合だけです。
被リンクを否認すべきですか?
2022年12月以降、不自然なリンクは基本的に無効化される扱いになっています。手動対策を受けている場合を除き、否認の必要性は下がりました。慌てて否認すると、正当なリンクまで無効にしてしまう危険があります。
AIで記事を書くとスパム扱いされますか?
手段は判定基準になっていません。問題になるのは、検索順位を操作する目的で価値のないページを大量生成する行為です。人力で同じことをしても同様に対象になります。
参照した情報源
- Google Search Status Dashboard|History for Ranking
- Google検索セントラル ブログ
- Google検索セントラル|ウェブ検索のスパムに関するポリシー
- Search Engine Roundtable
アップデート全体の流れはGoogleアップデートの歴史、リンクスパムの系譜はペンギンとリンクスパムの系譜でまとめています。

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