2025年3月27日に公開されたGoogle検索オフィスアワーの内容を整理しました。この回は47分と長尺で、構成が普段と大きく異なります。前半に11件の質問、後半24分はプロダクトエキスパートプログラムの紹介という特集回でした。司会は小川安奈さん。
プロダクトエキスパートの制度が、現役のエキスパート本人によって日本語でここまで詳しく説明されている資料は他にありません。ランクの仕組みや特典の条件まで語られており、この回の実質的な主役はそちらです。
先に:いま読むときの注意点
プロダクトエキスパートプログラムの内容は、動画内でも「2025年3月6日時点の情報であり、時々内容が変わることがある」と明示されています。参加を検討する場合は必ず公式リソースで最新の条件を確認してください。以下の記述も同様に、当時の説明として読んでください。
質問への回答は現在も通用します。またこの回で予告された「次回は4月24日」は予定通り実施されました。
取り上げられた質問
1. 新規ユーザーのアクセス数が実態と合わない
質問の要旨:社内IPを除外して毎週400前後の新規ユーザーが計測されている。広告運用を停止しアクセスが減ったことで発覚したが、もともと認知度も低いため正しく計測されていないのではと思った。使用している端末のIPアドレスを調べたところ、Googleのプロキシのようなアドレスが表示されていた。レポートに影響を及ぼすことはあるか。対策は可能か。
Googleの回答:本件はアクセス解析に関する内容のようなので、Googleアナリティクスのフォーラムにも聞いてみてほしい。そのうえで、もしGoogleのクローラーの挙動も含めた質問ということであれば、ブロックリストからブロックを削除して待てばクローラーは戻ってくる。ただしその場合でも、レポートは引き続き影響を受ける。
該当箇所:5:04
2. 自分のサイトにないスパムURLをGooglebotがクロールする
質問の要旨:Googlebotは、自分のウェブサイトで生成されていないスパムURLをクロールするのか。
Googleの回答:この場合もGooglebotはURLをクロールする。インターネットで見つけたURLはクロールするが、GooglebotがURLを偽造することはない。一部のURLをクロールさせたくない場合はrobots.txtを使用してほしい。
補足:短い回答ですが重要な情報が含まれています。「URLを偽造することはない」ということは、身に覚えのないURLがクロールされている場合、そのURLはどこかに実在しているということです。
外部サイトからのリンク、過去に存在した内部リンク、サイトマップの残骸など、必ず出所があります。「なぜこんなURLを」と考える前に、どこから発見されたのかを探すほうが早い。
該当箇所:6:25
3. Search ConsoleとGA4で数字が合わない
質問の要旨:Discoverからの流入はGA4でdirectに分類されるという情報が多く見られる。しかしSearch Console上のクリック数を1万としたとき、GA4のセッションがorganic 5000、direct 5000と約半分ずつになる結果が見られた。Discoverからの流入はすべてがdirectになるのではなく、一部organicとして計測されるのか。
Googleの回答:Search ConsoleとGoogle Analyticsは異なるツールであり、指標も定義も異なる。詳しい内容については公式ドキュメント「GoogleアナリティクスとSearch Consoleのデータの不一致について」に書かれているので、そちらを確認するのが体系的に理解できる。
補足:定番の質問に定番の回答です。この2つのツールの数字が一致しないのは仕様であり、一致させようとすること自体が徒労になります。
該当箇所:7:22
4. noindexを外したのにクロールされない
質問の要旨:弁護士ポータルサイトを運営しており、数万ページ規模である。昨年12月17日にサイトをリリースし、オウンドメディア記事や詳細ページは短期間でインデックスされた。しかしリリース時のエンジニアのミスで、事務所一覧ページすべてにnoindexが設定された状態で公開されてしまった。12月27日にこのミスを修正し、大半でnoindexを解除した。しかしそれ以降、事務所一覧ページのクロールがほとんど行われずインデックスが進まない。一方で記事ページや事務所詳細ページは公開して2〜3日でインデックスされる。またURL検査から手動でインデックスリクエストを行うとすぐにクロール・インデックスされる。
Googleの回答:具体的なサイト情報が添えられていたため状況を確認できた。こちらの環境で試したところ、該当のサイトは問題なくインデックス登録され、ページが検索結果に表示されているように思われた。見ているURLとこちらで試したURLでカテゴリが違うなどあるかもしれないので、その場合は指摘してほしい。大切なこととして、Googleが変更内容を取得して認識するまでには時間がかかることがある。またサイトのセクションによってクロール速度が異なる場合があることも考慮する必要がある。
補足:「サイトのセクションによってクロール速度が異なる」という点が実務的です。同じサイト内でも、記事ページは数日でインデックスされるのに一覧ページは進まない、という状況は珍しくありません。サイト全体の問題ではなく、そのセクションに対する評価が別に存在すると考えたほうが説明がつきます。
一度noindexを付けてしまったページ群の回復には時間がかかる、という点も押さえておく価値があります。手動リクエストで個別に通ることは、クロール自体がブロックされているわけではない証拠になります。
該当箇所:8:51
5. ソースコードが特殊文字に変換されている
質問の要旨:Search ConsoleのURL検査からソースコードを取得したところ、一部が特殊文字に変換されていた。特殊文字が混じっていた場合、デメリットはあるか。
Googleの回答:エンコードが入ってしまうケースは実装方法によっては起こり得る。一般的には今回のようなエンコードは特に問題ない。
該当箇所:11:06
6. PDFをクロール対象外にしたい
質問の要旨:自社サイト内にアップしたPDFファイルをクロール対象外にしたい。ただしPDFなのでnoindexタグは使えず、.htaccessへX-Robots-Tagを記述する方法も取れず、PDFにパスワードをかけることもしたくない。robots.txtに記述する方法を試したところ、「robots.txtによりブロックされましたが、インデックスに登録しました」というアラートが届いた。このアラートが意味するのは、A「インデックスには登録したが、robots.txtでブロックされているから今後検索結果には表示されない」か、B「インデックスはされているので、いつ検索結果に表示されるか分からない」のどちらか。
Googleの回答:Aだと思う。PDFファイルのrobots.txtに関するベストプラクティスとしては、一般的にはX-Robots-Tagにnoindexを含めることであり、その方法が取れない場合にrobots.txtを使用することになる。
補足:回答はAとしていますが、このステータスの一般的な説明を踏まえておくと理解しやすくなります。robots.txtでブロックすると、Googleはそのページの中身を取得できません。つまりnoindexが書いてあっても読めない。それでも外部リンクなどからURLの存在は分かるため、インデックスに登録された状態が生まれます。
だからこそ回答も、ベストプラクティスはX-Robots-Tagのほうだと明示しています。確実に検索結果から外したいなら、クロールをブロックするのではなくクロールさせたうえでnoindexを伝える。順序が逆になっている点が、この問題のややこしいところです。
該当箇所:11:47
7. 検索結果のサイト名が変わらない
質問の要旨:ある商品カテゴリに特化したECサイトを運営している。事業上の戦略からサイト名を変更した。検索結果のサイト名に新しいサイト名が表示されてほしいが、現状では意図した通りになっていない。対応方法はあるか。
Googleの回答:サイト名の指定方法については公式ドキュメント「Google検索に対してサイト名を指定する」を読んでほしい。サイト名を更新する際は時間がかかるので、しばらく様子を見てほしい。
該当箇所:13:51
8. 大手と似たサービス名のせいで問い合わせが誤流入する
質問の要旨:大手サイトとサービス名が似ていることにより、検索結果の「関連する質問」で不具合が起きている。具体的には「大手のサービス名+問い合わせ」というクエリで検索すると、大手の問い合わせ先ではなく自社サービスの問い合わせ先が表示されてしまう。そのため、まったく関係のない電話がかかってくる。フィードバックを行っているが一向に改善されない。打てる手はあるか。
Googleの回答:フィードバックを送っているにもかかわらず改善されないということで、不安な気持ちにさせていたら申し訳ない。正直に言うと、サービス名がよく似たサイトが複数ある場合にコメントできることは2つしかない、というところをチームともディスカッションを重ねた。1つ目は、他のビジネスに似た名前は選ばないでほしいということ。これは検索に閉じた話ではなく、ビジネスを立ち上げる前に競合他社の調査を念入りに行ってほしい。2つ目は、最終的にこれらが似ているが異なるサービスであるとGoogle検索としても分かるかもしれず、その場合は問題が解決される可能性はあるが、そうなるとも限らない。気にならなければそのまま待つことも可能である。納得のいく回答になっていないと思うが理解してほしい。
補足:名前の重複は検索側では救済されない、という回答です。しかも「ビジネスを立ち上げる前に調査してほしい」と、すでに起きている問題に対して事前の話をしている。チームで議論したうえでこの2点しかないと結論づけた、と明かしている点に誠実さはありますが、対処法は事実上ありません。
同じ構図の質問が2025年6月26日の回でも出ています。そちらは過去に同一社名で家電を販売していた企業と混同されるケースで、回答も同様に「そのような検索オプションはない」「事業を始める前に市場分析とブランディングを考える必要がある」でした。
社名やサービス名の重複は定期的に寄せられる相談であり、そのたびに同じ答えが返っています。ブランド設計の段階で検索結果を確認しておくことが、事後の唯一の予防策になります。
該当箇所:14:59
9. 公開URLテストが実行できない
質問の要旨:Search Consoleの公開URLテストおよびインデックスのリクエストが実行できない状態が続いている。実行回数の制限に達しているのか、サイト側に問題があるのか特定できていない。
Googleの回答:Search Consoleに関連するチームにも確認したが、そのような不具合は最近発生していないとのことだった。手数だが、今一度それらの機能を試してみてほしい。引き続き問題が発生しているようなら連絡してもらえると助かる。
該当箇所:17:50
10. アダルト判定の条件をもっと公開してほしい
質問の要旨:担当しているサイトがアダルト判定を受けている。コラムページを別ドメインに移管して一度は解除されたが、再度判定を受けている状況である。Googleのページを確認しても該当するコンテンツの詳細は記載されておらず、おそらくここだろうという部分を修正して解除申請を行っている。判定を受ける条件についてもう少し詳細を公開してもらうことは可能か。そのガイドラインに合わせてサイトを修正したい。
Googleの回答:この種のフィードバックは時々もらうが、既存のドキュメントに記載されている以上の情報を提供することはできない。サイト上の他のコンテンツと組み合わせて性的な意味を持つ可能性がある用語がないかどうかを確認してほしい。今回のケースはセーフサーチに関係する問題のように思われるので、公式ドキュメント「セーフサーチとウェブサイト」および「セーフサーチに関する問題を解決する」の2点を確認してほしい。
補足:詳細な基準は公開しないという回答ですが、判定の考え方についてひとつヒントが示されています。単語単体ではなく、サイト上の他のコンテンツとの組み合わせで意味が変わるという点です。
つまり同じ単語でも、周辺のコンテンツ次第で性的な意味に読まれる可能性がある。修正する際は該当箇所だけを見るのではなく、そのページ全体、サイト全体の文脈で用語の見え方を確認する必要があるということになります。
該当箇所:19:04
11. HTTPSでしか閲覧できないのは問題か
質問の要旨:HTTPSプロトコルでのみ閲覧でき、HTTPだとエラーになって閲覧できないサイトは、SEOの観点から何か問題になることはあるか。
Googleの回答:特に問題になることはない。ただしユーザビリティの観点からは良くない習慣だと思うので、どういった方に届けたいコンテンツなのかを考えながら方向性を決めるのがよい。
補足:検索には影響しないが推奨はしない、という切り分けです。HTTPでアクセスしたユーザーがエラーに突き当たる構成は、古いブックマークや外部リンクからの流入を取りこぼします。
該当箇所:20:51
特集:プロダクトエキスパートプログラムとは
この回の後半24分は、Google検索セントラルヘルプコミュニティのプロダクトエキスパート2名による、プログラムの紹介と参加募集に充てられています。制度の内部が本人たちの言葉で語られる、他に代えのない内容です。
プログラムの概要
プロダクトエキスパート(PE)は、Googleが用意している製品ごとのヘルプコミュニティで、質問してくる他のユーザーを積極的にサポートする経験豊富なユーザーを認定していく制度です。GmailやChrome、Googleマップなど各製品にコミュニティがあり、この回で扱われているのはGoogle検索セントラルヘルプコミュニティ、つまりSEO関連のコミュニティです。
活動の中心は、サイト運営に困ったユーザーが投稿する質問への回答です。それ以外にも、繰り返し寄せられる質問に対する学習コンテンツの作成、不具合と思われる事象のコミュニティマネージャーへのエスカレーション、上位ランクのエキスパートによる新規参加者へのメンターシップといった活動があります。
紹介されていた学習コンテンツの例としては、サイト移転の失敗が多いことを受けたリダイレクトの解説や、誤用の多いSearch Consoleの削除ツールの正しい使い方などが挙げられていました。
5段階のランク
ランクは下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤモンドの5段階です。貢献度に応じて上がっていきます。
重要なのは昇格の仕組みが途中で変わる点です。ブロンズまでは基準を満たすと自動付与されますが、シルバー以降は審査が入ります。ポイントの目安はあるものの、最終的にはコミュニティマネージャーの判断と既存プロダクトエキスパートの推薦によって決まる、と説明されていました。
そして主な特典が得られるのもシルバー以降です。
特典と、PEサミットの参加条件
特典としては、Googleオリジナルグッズ、Search Consoleの新機能のベータテストへの参加、アップデートの事前アナウンス、回答に役立つツールの提供、Google社員との直接のやり取りなどが挙げられていました。
最も大きな特典として語られていたのが、年1回開催されるプロダクトエキスパートサミットです。エキスパートだけが参加できるクローズドなイベントで、Google社員の検索チームによる新機能の紹介や、外部非公開のセッションが行われます。過去の開催地としてインドのグルグラム、イギリスのロンドン、シンガポール、シドニー、そしてGoogle本社のあるカリフォルニア州マウンテンビューが挙げられていました。
参加条件はランクによって分かれます。
| ランク | サミット参加 |
|---|---|
| シルバー | オンライン参加が可能 |
| ゴールド | プラチナからの推薦と空き枠があれば参加可能 |
| プラチナ以上 | 現地参加が可能 |
現地参加を目指すならプラチナが実質的な到達点ということになります。
参加のハードル
参加条件として挙げられていたのは3つだけでした。検索が好きなこと、SEOが好きなこと、人の役に立てると嬉しいと思えること。
SEOやGoogle検索に精通している必要はない、という点は繰り返し強調されていました。自分に分かることだけ、あるいは「うちのサイトでもこんなことがありました」というレベルからでも構わない。既存エキスパートの回答を見て学びながらステップアップできる、という説明です。実際、回答しながら勉強してプラチナまで上がったエキスパートの例も紹介されていました。
活動時間についても、通勤の電車内や昼休み、仕事終わりの隙間時間で回答しているという実例が語られています。ボランティアプログラムであり強制はされないため、1週間投稿しない期間があっても問題ない、とのことでした。
現場から挙がっていた効用
参加してよかったこととして挙げられていた中で、実務に直結していたのが社内での説得力の話です。事業会社のインハウス担当者の場合、SEO関連の提案がなかなか通らないことがあるが、Googleの公式な称号を持っていると信頼感が生まれ、話を聞いてもらえるようになる。そういう動機で始める人も少なくない、という説明でした。
Google社員に直接フィードバックやエスカレーションを送れることも、他では得にくい機会として語られています。
参加には所定のURLからの登録が必要です。条件や特典は変更される可能性があるため、検討する場合は公式リソースで現在の内容を確認してください。
この回で紹介されたお知らせ
- ロボットに関する復習シリーズが開始された。robots.txtやrobotsメタタグ、それらが提供する管理機能について、12月のクロール情報シリーズに続いておさらいをまとめたもの。robots.txtの解説とページレベルの粒度についての記事が公開されている
- Search Central Live APAC 2025の開催が告知された。前年は日本での開催が実現しなかったが、この年は第4四半期の初めに日本語話者向けのイベントも開催予定と案内された。日付と場所は年後半、イベントの数週間前に発表するとされていた
この告知は、2025年9月25日の回で「Search Central Live Tokyoが2年ぶりに東京で開催、2025年11月7日」という形で結実します。3月時点の予告が半年後に具体化した流れになっています。
まとめ
質問への回答としては、「サイトのセクションによってクロール速度が異なる」という指摘と、アダルト判定における「他のコンテンツとの組み合わせ」という判断軸が拾いどころでした。
ただしこの回の価値は、後半のプロダクトエキスパートプログラムの解説にあります。5段階のランク構造、シルバー以降は審査制であること、サミットの現地参加はプラチナ以上という条件。こうした具体的な情報が日本語で語られている資料は他になく、参加を検討する人にとっては一次情報に近い位置づけになります。
似た社名の問題については、この回でも6月26日の回でも同じ回答が繰り返されました。検索側に救済手段はなく、名付けの段階で調べておくしかない。オフィスアワーで定期的に寄せられる相談だからこそ、答えが一貫していることに意味があります。


コメント